SFAのRFP・要件定義書の作り方|比較できる依頼項目とテンプレート
SFA選定でベンダー回答を比較できるRFPの作り方を解説。背景、対象業務、データ、権限、セキュリティ、移行、支援、費用、契約条件まで整理したCSVテンプレート付きです。
この記事でわかること
対象:100名以上のSFA導入・刷新に向けて、RFP、要件定義書、比較表、社内稟議の作成を担当する営業企画、DX推進、情報システム、購買の担当者
- 機能一覧ではなく、目的・対象業務・データ・非機能・移行・運用・出口を一つの依頼書にする
- 回答形式と証跡を指定し、「対応可」の意味と追加費用を候補間で比較できるようにする
- RFPの回答をPoC、見積もり、稟議、契約条件へつなげ、選定根拠を残す
目次
SFAのRFP(提案依頼書)は、欲しい機能を並べる文書ではありません。導入目的、対象業務、利用者、データ、権限、連携、移行、支援、費用、契約条件を同じ前提で候補企業へ伝え、回答を比較できる形にする文書です。
RFPが曖昧だと、各社が異なる人数・プラン・支援範囲で回答し、金額も機能も比較できません。本記事では、100名以上のSFA選定で使うRFPの章立て、質問の作り方、評価、PoC、稟議へのつなぎ方を解説します。
回答形式・証跡・費用条件まで記入できるCSVです
SFA RFPテンプレートをダウンロード →RFP・要件定義書・稟議書の違い
| 文書 | 目的 | 主な読者 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 要件定義書 | 自社が必要とする業務・条件を決める | 社内関係者 | 目的・業務・データ・機能・非機能・運用 |
| RFI | 市場・製品・実現方法の情報を集める | 候補ベンダー | 現状・質問・回答形式 |
| RFP | 同じ条件で具体的な提案と見積もりを受ける | 候補ベンダー | 要件・範囲・提案依頼・選定手順 |
| 評価表 | 回答・デモ・PoCを同じ軸で採点する | 選定委員 | 必須判定・点数・根拠・リスク |
| 稟議書 | 投資・契約の承認を得る | 決裁者・管理部門 | 目的・効果・費用・リスク・選定根拠 |
| 契約・仕様書 | 提供範囲と責任を合意する | 契約当事者 | 機能・SLA・支援・データ・終了条件 |
RFPは要件定義の代わりではありません。自社の目的と必須条件が未整理なら、まずRFIやヒアリングで市場を把握し、要件を具体化してから提案を依頼します。
SFAのRFPに入れる12章
1. 背景・目的・成功条件
現状の問題、対象業務、導入後に変えたい状態、測定指標を書きます。「営業力を強化する」ではなく、商談後の記録時間、案件情報の欠落、会議集計、引き継ぎなど、導入前後で確認できる指標へ分けます。
| 曖昧な記述 | 比較できる記述 |
|---|---|
| 入力を効率化したい | 代表商談1件の記録完了までの時間と手入力項目を測る |
| 情報を一元化したい | 顧客・案件・活動の正とする保存先と連携方向を定める |
| 定着させたい | 対象業務の記録率・情報欠落・利用者別の継続利用を測る |
| 売上を上げたい | 入力・情報品質・案件支援・予測差の先行指標を確認する |
2. 対象範囲・利用者・前提条件
対象会社、部門、地域、役割、利用人数、将来人数、言語、端末、勤務形態を示します。営業担当者だけでなく、マネージャー、営業企画、閲覧者、管理者、連携用アカウントを含めて見積条件をそろえます。
3. 現行業務と導入後の業務
顧客獲得から商談、見積、受注、引き継ぎまでの現行フローと、SFA導入後に変える範囲を示します。製品機能の名称ではなく、利用者が完了させる業務シナリオとして記述すると、デモとPoCに再利用できます。
4. 機能要件
顧客・案件・活動・予測・レポート・モバイルなどを、必須、希望、対象外に分けます。「対応可」の回答だけでなく、標準、設定、追加開発、外部製品、対応予定のどれかを指定し、プランと費用も回答させます。
| 回答区分 | 意味 |
|---|---|
| 標準 | 提示プランの標準機能で利用できる |
| 設定 | 個別開発なしで管理画面から設定できる |
| 追加開発 | 開発・試験・保守が必要 |
| 外部製品 | 別契約・連携・責任分界が必要 |
| 代替 | 別の手順で目的を満たす |
| 対応予定 | 現時点では未提供。予定と確約を分ける |
| 非対応 | 要件を満たせない |
5. データ・移行要件
顧客、担当者、案件、活動、メール、音声、添付、コメント、変更履歴の概数・形式・期間を示します。出力、変換、試行移行、リハーサル、照合、切替、旧環境終了について、担当と成果物を回答させます。
データ棚卸し・試行移行・照合・旧環境終了を詳しく確認する
SFA・CRMのデータ移行手順を読む →6. 認証・権限・セキュリティ要件
SSO、多要素認証、アカウント自動連携、組織・役職・案件権限、監査ログ、暗号化、保存場所、インシデント通知、再委託先、データ削除を記載します。自社のチェックリストと必要な証跡を添付します。
参考:IT製品の調達におけるセキュリティ要件リスト活用ガイドブック(IPA)
認証・権限・ログ・AI・契約終了の40項目を確認する
SFAセキュリティチェックリストを読む →7. 外部連携・AI要件
メール、カレンダー、電話、Web会議、MA、会計、ID基盤などについて、連携対象、同期方向、反映時間、API上限、失敗時の再処理、問い合わせ先を記載します。AIは元データ、処理先、学習利用、保存、確認・修正、上限、追加費用を分けます。
8. 非機能・サービスレベル要件
利用時間、性能、同時利用、データ量、可用性、計画停止、バックアップ、復旧、監視、問い合わせ、変更通知を記載します。抽象的な「十分な性能」ではなく、代表画面・検索・一括処理・締め日の条件を示します。
9. 導入・教育・定着支援
要件整理、設定、移行、管理者研修、利用者説明、マニュアル、問い合わせ、導入後レビューの役割と回数を回答させます。提供者が行う作業と自社が行う作業を分け、追加費用と前提条件を明らかにします。
10. 管理者運用・変更管理
利用者追加、組織変更、権限棚卸し、項目・レポート変更、データ修正、障害確認に必要な管理作業を示します。100名以上では、通常月と組織変更月の作業件数を想定し、実機で管理時間を測ります。
11. 価格・見積条件
同じ人数・期間・利用量・支援範囲で、初期、ライセンス、AI・容量、連携、移行、追加開発、教育、保守、更新、終了の費用を依頼します。未確定費用は0円にせず、単価、算定式、上限、前提を回答させます。
| 費用区分 | 確認すること |
|---|---|
| 初期 | 要件整理・設定・プロジェクト管理 |
| 利用 | 役割別ライセンス・最低契約・契約期間 |
| 従量 | AI・録音・API・容量・通信 |
| 連携 | 接続先・開発・外部製品・保守 |
| 移行 | 抽出・整形・試行・本番・照合 |
| 支援 | 研修・問い合わせ・定着レビュー |
| 変更 | 追加設定・開発・価格改定 |
| 終了 | データ出力・移行支援・削除・違約条件 |
12. 契約・出口条件
契約期間、更新、価格改定、SLA、仕様変更、再委託先変更、監査協力、責任制限、データ所有、出力、解約、削除を確認します。法的な判断は自社法務・専門家と行い、RFP回答と最終契約の差を確認します。
候補を比較できる回答形式を指定する
自由形式の提案書だけでは、得意な機能ばかりが強調されます。各要件に対し、回答区分、対象プラン、実現方法、制約、費用、提供時期、証跡、担当を同じ列で回答してもらい、提案書は補足資料とします。
| 列 | 回答内容 |
|---|---|
| 要件ID | 質問と回答を一意に結ぶ番号 |
| 適合 | 標準・設定・開発・外部・代替・予定・非対応 |
| 対象 | プラン・オプション・利用者・データ範囲 |
| 方法 | 設定・構成・運用の説明 |
| 制約 | 上限・例外・前提・非対象 |
| 費用 | 初期・月額・従量・保守 |
| 時期 | 契約時・導入時・将来予定 |
| 証跡 | 仕様書・画面・契約条項・試験結果 |
| 責任 | 提供者・自社・第三者の分担 |
RFPからPoC・評価へつなげる
書面で適合する候補を絞ったら、重要な業務シナリオをPoCで確認します。各社に同じサンプルデータ、端末、役割、操作、計測方法を適用し、成功デモの印象ではなく事実を残します。
| シナリオ | 測定すること |
|---|---|
| 商談後の記録 | 完了時間・手入力・修正・情報欠落 |
| 案件レビュー | 必要情報への到達・支援判断・集計 |
| 異動・兼務 | アカウント・権限・担当変更の時間と漏れ |
| データ移行 | 件数・関連・文字・権限・エラー・再実行 |
| 連携障害 | 検知・再送・重複・問い合わせ先 |
| 契約終了 | 一括出力の形式・時間・関連・費用 |
社内稟議へ入れる選定根拠
稟議には、製品紹介よりも、なぜ今必要か、現状値、選定条件、候補比較、期待する直接効果、総コスト、残るリスク、導入体制、撤退条件を示します。売上向上だけを確約せず、入力時間、情報量、会議準備、管理工数など製品が直接変える指標を分けます。
| 稟議項目 | 記載する内容 |
|---|---|
| 目的 | 対象課題・事業上の影響・実施しない場合 |
| 現状 | 時間・件数・欠落・利用ツール・費用 |
| 選定 | 候補・必須要件・PoC結果・選定理由 |
| 効果 | 直接指標・確認時期・責任者 |
| 費用 | 3年間の契約・導入・移行・運用・終了 |
| リスク | 未適合・移行・定着・セキュリティと対応 |
| 計画 | 体制・段階展開・判定日・停止条件 |
| 契約 | 期間・更新・SLA・データ出力・終了 |
SFAのRFPでよくある失敗
- 他社の機能表をそのまま要件にして導入目的と結び付かない
- 必須要件が多すぎて実際には優先順位がない
- 対応可の意味、プラン、追加費用、制約を指定しない
- 利用人数・AI利用量・移行範囲が候補ごとに異なる
- 営業部門だけで作り、情シス・セキュリティ・法務・購買が後から参加する
- RFP回答をPoC、見積もり、契約条項で再確認しない
- 未実装の対応予定を現在の機能と同じ点数で評価する
SFAのRFPに関するよくある質問
RFPは何社へ送るべきですか?
社数の正解はありません。RFIや公開情報で必須条件を満たす候補へ絞り、回答を評価できる社数にします。候補を増やすほど比較が良くなるとは限らず、質問・デモ・見積もりの条件をそろえる作業も増えます。
RFPを作る前に製品デモを見てもよいですか?
市場理解のためのデモは有用です。ただし、製品の画面を見てから要件を作ると、特定製品の機能がそのまま要件になりやすいため、現状課題と対象業務は先に整理します。
テンプレートをそのまま使えますか?
不要な項目を削除し、自社のデータ、人数、業務、規程、既存システムへ合わせてください。質問数より、各要件の目的・優先度・証跡・判定責任者が明確であることが重要です。
まとめ:RFPは比較と合意の基準を作る
良いRFPは、機能数を競わせるのではなく、自社が変えたい業務と守る条件を同じ前提で候補へ伝えます。回答形式を統一し、書面、PoC、見積もり、稟議、契約を同じ要件IDでつなげると、選定根拠と未解決事項を残せます。
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執筆:小花 達也
新卒でソフトバンク株式会社に入社し、デジタルマーケティングを担当。その後、ベンチャー企業数社でBtoBマーケティング、データ基盤構築、営業などを担当した後、ELW株式会社に入社。DRIVE SFAでは導入支援とマーケティングを担当。
本記事は、DRIVE SFAの導入支援・営業運用に関する知見をもとに編集しています。
