公開:2026.07.21SFA選定読了目安:18分公式・公的資料等:1

SFAのRFP・要件定義書の作り方|比較できる依頼項目とテンプレート

SFA選定でベンダー回答を比較できるRFPの作り方を解説。背景、対象業務、データ、権限、セキュリティ、移行、支援、費用、契約条件まで整理したCSVテンプレート付きです。

SFAのRFP・要件定義書の作り方|比較できる依頼項目とテンプレート

この記事でわかること

対象:100名以上のSFA導入・刷新に向けて、RFP、要件定義書、比較表、社内稟議の作成を担当する営業企画、DX推進、情報システム、購買の担当者

  • 機能一覧ではなく、目的・対象業務・データ・非機能・移行・運用・出口を一つの依頼書にする
  • 回答形式と証跡を指定し、「対応可」の意味と追加費用を候補間で比較できるようにする
  • RFPの回答をPoC、見積もり、稟議、契約条件へつなげ、選定根拠を残す
目次

SFAのRFP(提案依頼書)は、欲しい機能を並べる文書ではありません。導入目的、対象業務、利用者、データ、権限、連携、移行、支援、費用、契約条件を同じ前提で候補企業へ伝え、回答を比較できる形にする文書です。

RFPが曖昧だと、各社が異なる人数・プラン・支援範囲で回答し、金額も機能も比較できません。本記事では、100名以上のSFA選定で使うRFPの章立て、質問の作り方、評価、PoC、稟議へのつなぎ方を解説します。

SFAの要件定義からRFP・PoC・稟議・契約へつなぐ選定フロー
DRIVE JOURNAL編集部作成。各段階の入力と成果物を整理しています。

回答形式・証跡・費用条件まで記入できるCSVです

SFA RFPテンプレートをダウンロード →

RFP・要件定義書・稟議書の違い

文書目的主な読者主な内容
要件定義書自社が必要とする業務・条件を決める社内関係者目的・業務・データ・機能・非機能・運用
RFI市場・製品・実現方法の情報を集める候補ベンダー現状・質問・回答形式
RFP同じ条件で具体的な提案と見積もりを受ける候補ベンダー要件・範囲・提案依頼・選定手順
評価表回答・デモ・PoCを同じ軸で採点する選定委員必須判定・点数・根拠・リスク
稟議書投資・契約の承認を得る決裁者・管理部門目的・効果・費用・リスク・選定根拠
契約・仕様書提供範囲と責任を合意する契約当事者機能・SLA・支援・データ・終了条件

RFPは要件定義の代わりではありません。自社の目的と必須条件が未整理なら、まずRFIやヒアリングで市場を把握し、要件を具体化してから提案を依頼します。

SFAのRFPに入れる12章

1. 背景・目的・成功条件

現状の問題、対象業務、導入後に変えたい状態、測定指標を書きます。「営業力を強化する」ではなく、商談後の記録時間、案件情報の欠落、会議集計、引き継ぎなど、導入前後で確認できる指標へ分けます。

曖昧な記述比較できる記述
入力を効率化したい代表商談1件の記録完了までの時間と手入力項目を測る
情報を一元化したい顧客・案件・活動の正とする保存先と連携方向を定める
定着させたい対象業務の記録率・情報欠落・利用者別の継続利用を測る
売上を上げたい入力・情報品質・案件支援・予測差の先行指標を確認する

2. 対象範囲・利用者・前提条件

対象会社、部門、地域、役割、利用人数、将来人数、言語、端末、勤務形態を示します。営業担当者だけでなく、マネージャー、営業企画、閲覧者、管理者、連携用アカウントを含めて見積条件をそろえます。

3. 現行業務と導入後の業務

顧客獲得から商談、見積、受注、引き継ぎまでの現行フローと、SFA導入後に変える範囲を示します。製品機能の名称ではなく、利用者が完了させる業務シナリオとして記述すると、デモとPoCに再利用できます。

4. 機能要件

顧客・案件・活動・予測・レポート・モバイルなどを、必須、希望、対象外に分けます。「対応可」の回答だけでなく、標準、設定、追加開発、外部製品、対応予定のどれかを指定し、プランと費用も回答させます。

回答区分意味
標準提示プランの標準機能で利用できる
設定個別開発なしで管理画面から設定できる
追加開発開発・試験・保守が必要
外部製品別契約・連携・責任分界が必要
代替別の手順で目的を満たす
対応予定現時点では未提供。予定と確約を分ける
非対応要件を満たせない

5. データ・移行要件

顧客、担当者、案件、活動、メール、音声、添付、コメント、変更履歴の概数・形式・期間を示します。出力、変換、試行移行、リハーサル、照合、切替、旧環境終了について、担当と成果物を回答させます。

データ棚卸し・試行移行・照合・旧環境終了を詳しく確認する

SFA・CRMのデータ移行手順を読む →

6. 認証・権限・セキュリティ要件

SSO、多要素認証、アカウント自動連携、組織・役職・案件権限、監査ログ、暗号化、保存場所、インシデント通知、再委託先、データ削除を記載します。自社のチェックリストと必要な証跡を添付します。

参考:IT製品の調達におけるセキュリティ要件リスト活用ガイドブック(IPA)

認証・権限・ログ・AI・契約終了の40項目を確認する

SFAセキュリティチェックリストを読む →

7. 外部連携・AI要件

メール、カレンダー、電話、Web会議、MA、会計、ID基盤などについて、連携対象、同期方向、反映時間、API上限、失敗時の再処理、問い合わせ先を記載します。AIは元データ、処理先、学習利用、保存、確認・修正、上限、追加費用を分けます。

8. 非機能・サービスレベル要件

利用時間、性能、同時利用、データ量、可用性、計画停止、バックアップ、復旧、監視、問い合わせ、変更通知を記載します。抽象的な「十分な性能」ではなく、代表画面・検索・一括処理・締め日の条件を示します。

9. 導入・教育・定着支援

要件整理、設定、移行、管理者研修、利用者説明、マニュアル、問い合わせ、導入後レビューの役割と回数を回答させます。提供者が行う作業と自社が行う作業を分け、追加費用と前提条件を明らかにします。

10. 管理者運用・変更管理

利用者追加、組織変更、権限棚卸し、項目・レポート変更、データ修正、障害確認に必要な管理作業を示します。100名以上では、通常月と組織変更月の作業件数を想定し、実機で管理時間を測ります。

11. 価格・見積条件

同じ人数・期間・利用量・支援範囲で、初期、ライセンス、AI・容量、連携、移行、追加開発、教育、保守、更新、終了の費用を依頼します。未確定費用は0円にせず、単価、算定式、上限、前提を回答させます。

費用区分確認すること
初期要件整理・設定・プロジェクト管理
利用役割別ライセンス・最低契約・契約期間
従量AI・録音・API・容量・通信
連携接続先・開発・外部製品・保守
移行抽出・整形・試行・本番・照合
支援研修・問い合わせ・定着レビュー
変更追加設定・開発・価格改定
終了データ出力・移行支援・削除・違約条件

12. 契約・出口条件

契約期間、更新、価格改定、SLA、仕様変更、再委託先変更、監査協力、責任制限、データ所有、出力、解約、削除を確認します。法的な判断は自社法務・専門家と行い、RFP回答と最終契約の差を確認します。

候補を比較できる回答形式を指定する

自由形式の提案書だけでは、得意な機能ばかりが強調されます。各要件に対し、回答区分、対象プラン、実現方法、制約、費用、提供時期、証跡、担当を同じ列で回答してもらい、提案書は補足資料とします。

回答内容
要件ID質問と回答を一意に結ぶ番号
適合標準・設定・開発・外部・代替・予定・非対応
対象プラン・オプション・利用者・データ範囲
方法設定・構成・運用の説明
制約上限・例外・前提・非対象
費用初期・月額・従量・保守
時期契約時・導入時・将来予定
証跡仕様書・画面・契約条項・試験結果
責任提供者・自社・第三者の分担

RFPからPoC・評価へつなげる

書面で適合する候補を絞ったら、重要な業務シナリオをPoCで確認します。各社に同じサンプルデータ、端末、役割、操作、計測方法を適用し、成功デモの印象ではなく事実を残します。

シナリオ測定すること
商談後の記録完了時間・手入力・修正・情報欠落
案件レビュー必要情報への到達・支援判断・集計
異動・兼務アカウント・権限・担当変更の時間と漏れ
データ移行件数・関連・文字・権限・エラー・再実行
連携障害検知・再送・重複・問い合わせ先
契約終了一括出力の形式・時間・関連・費用

社内稟議へ入れる選定根拠

稟議には、製品紹介よりも、なぜ今必要か、現状値、選定条件、候補比較、期待する直接効果、総コスト、残るリスク、導入体制、撤退条件を示します。売上向上だけを確約せず、入力時間、情報量、会議準備、管理工数など製品が直接変える指標を分けます。

稟議項目記載する内容
目的対象課題・事業上の影響・実施しない場合
現状時間・件数・欠落・利用ツール・費用
選定候補・必須要件・PoC結果・選定理由
効果直接指標・確認時期・責任者
費用3年間の契約・導入・移行・運用・終了
リスク未適合・移行・定着・セキュリティと対応
計画体制・段階展開・判定日・停止条件
契約期間・更新・SLA・データ出力・終了

SFAのRFPでよくある失敗

  • 他社の機能表をそのまま要件にして導入目的と結び付かない
  • 必須要件が多すぎて実際には優先順位がない
  • 対応可の意味、プラン、追加費用、制約を指定しない
  • 利用人数・AI利用量・移行範囲が候補ごとに異なる
  • 営業部門だけで作り、情シス・セキュリティ・法務・購買が後から参加する
  • RFP回答をPoC、見積もり、契約条項で再確認しない
  • 未実装の対応予定を現在の機能と同じ点数で評価する

SFAのRFPに関するよくある質問

RFPは何社へ送るべきですか?

社数の正解はありません。RFIや公開情報で必須条件を満たす候補へ絞り、回答を評価できる社数にします。候補を増やすほど比較が良くなるとは限らず、質問・デモ・見積もりの条件をそろえる作業も増えます。

RFPを作る前に製品デモを見てもよいですか?

市場理解のためのデモは有用です。ただし、製品の画面を見てから要件を作ると、特定製品の機能がそのまま要件になりやすいため、現状課題と対象業務は先に整理します。

テンプレートをそのまま使えますか?

不要な項目を削除し、自社のデータ、人数、業務、規程、既存システムへ合わせてください。質問数より、各要件の目的・優先度・証跡・判定責任者が明確であることが重要です。

まとめ:RFPは比較と合意の基準を作る

良いRFPは、機能数を競わせるのではなく、自社が変えたい業務と守る条件を同じ前提で候補へ伝えます。回答形式を統一し、書面、PoC、見積もり、稟議、契約を同じ要件IDでつなげると、選定根拠と未解決事項を残せます。

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小花 達也

執筆:小花 達也

新卒でソフトバンク株式会社に入社し、デジタルマーケティングを担当。その後、ベンチャー企業数社でBtoBマーケティング、データ基盤構築、営業などを担当した後、ELW株式会社に入社。DRIVE SFAでは導入支援とマーケティングを担当。

本記事は、DRIVE SFAの導入支援・営業運用に関する知見をもとに編集しています。