公開:2026.08.25AI・顧客接点読了目安:13分公式・公的資料等:7

商談録音の同意・説明と、録音後のデータ管理

商談録音の同意や説明は、どこまで必要なのか。日本と海外の公的情報、AI文字起こしの確認事項、DRIVE SFAの現在の保存仕様を分けて説明します。

商談録音の同意と説明|日本・海外の違い、AI文字起こしの運用設計

この記事でわかること

対象:商談録音・AI議事録を導入または全社展開する営業責任者、営業企画、情報システム、セキュリティ、法務・プライバシー担当者

  • 日本の個人情報保護委員会FAQが答えている範囲を確認する
  • 海外参加者がいる場合は、所在地と適用されるデータ保護規制を確認する
  • 自動削除・一括削除がない現在の保存仕様を前提に録音対象を決める
目次

商談を録音する場合は、開始前に相手へ録音の予定と目的を伝えます。相手が希望しない場合は、録音せずに商談を続けます。日本の個人情報保護法が、あらゆる商談で録音の告知や同意を一律に求めている、という意味ではありません。法律上の扱いが一つに決まらないため、担当者がその場で迷わない手順を社内で決めておきます。

録音後に作られる文字起こしやAI要約も確認の対象です。音声を録ることと、そのデータを保存・共有・AI処理することは、同じ話ではありません。この記事では、公的機関が公開している資料と、現在のDRIVE SFAの仕様を分けて記載します。

本記事は2026年8月25日時点で確認できる公的情報をもとにした一般的な整理です。個別案件への法律相談ではありません。参加者の所在地、契約、NDA、業界規制、会話の内容によって判断が変わる場合は、法務・プライバシー担当者または専門家へ確認してください。

日本では、何を確認すればよいか

個人情報保護委員会のFAQには、顧客との電話の通話内容から特定の個人を識別できる場合、その通話内容は個人情報に該当するとの説明があります。この場合は利用目的の通知または公表が必要です。一方、同FAQは、個人情報保護法上は録音していることを相手へ伝える義務までは負わない、と回答しています。

参考:顧客との電話の通話内容と録音の通知義務(個人情報保護委員会)

このFAQが答えているのは、個人情報保護法に基づく「顧客との電話録音の告知義務」です。すべての商談の録音可否や、その後の利用まで許容する資料ではありません。利用目的の示し方、安全管理、委託先への送信、契約上の守秘義務などは別途確認します。顧客との関係を考えて事前に説明することも、法令上の最低条件とは分けて判断します。

外部の生成AIサービスを使う場合は、入力した情報が提供者側でどう扱われるかを確認します。個人情報保護委員会は、提供者が入力情報を自社のモデル学習に使う場合、個人データの入力が第三者提供に当たり得るとして、利用規約などの確認を求めています。これは「AIへ送れば必ず第三者提供になる」という説明ではありません。契約上の処理目的や学習利用の有無によって確認事項が変わります。

参考:生成AIサービスの利用に関する注意喚起(個人情報保護委員会)

海外参加者がいる商談は、一つの基準で決めない

海外商談を「一人が同意すればよい地域」「全員の同意が必要な地域」という二分だけで扱うと、データ保護の論点が抜けます。オンライン商談では参加者が別の国や州から接続することもあります。参加者の所在地が分からないまま録音を始めない、という社内手順にしておく方が現実的です。

米国の例

米国は州ごとに確認が必要です。カリフォルニア州刑法632条は、秘密性が合理的に期待される通信を、全当事者の同意なく意図的に録音する行為を禁じています。これは米国全土を説明する条文ではありません。他州の参加者がいる場合も含め、個別に適用法を確認します。

参考:California Penal Code Section 632(California Legislative Information)

EUのデータ保護

欧州データ保護会議(EDPB)のFAQは、顧客との通話を録音する場合、録音の目的、録音データの受領者、異議を申し立てる権利、録音データへアクセスする権利を顧客へ知らせる必要があると説明しています。GDPRにおける処理の根拠は同意だけではありません。どの根拠で処理するかを定めたうえで、透明性、目的の限定、データの最小化、保存期間、安全管理、本人の権利への対応を検討します。

参考:電話録音に関するFAQ(European Data Protection Board)

参考:GDPRにおける個人データ処理の原則(European Commission)

カナダとオーストラリアの公的ガイダンス

カナダのプライバシーコミッショナーは、PIPEDAの対象となる顧客通話について、録音することと目的を知らせ、同意を求めるよう案内しています。相手が録音に異議を述べた場合は、録音しない通話などの代替手段も示しています。これはPIPEDAの対象となる場面についての説明であり、カナダで行われるすべての会話を一律に扱うものではありません。

参考:Recording of Customer Telephone Calls(Office of the Privacy Commissioner of Canada)

オーストラリア情報コミッショナー事務局(OAIC)は、市販AI製品を利用する組織向けのガイダンスで、会議の録音、文字起こし、AI議事録の作成が個人情報の収集に当たり得ると説明しています。会議で扱う内容を事前に予測しにくい点も踏まえ、参加者にAI利用を知らせ、異議を述べる機会を設けて同意を求めることを、望ましい実務として挙げています。対象となる組織や情報については、オーストラリアのPrivacy ActとAustralian Privacy Principlesの適用範囲を確認します。

参考:市販AI製品の利用とプライバシーに関するガイダンス(OAIC)

録音を始める前に社内で決めること

現場へ録音機能を渡す前に、対象と例外を決めます。相手の所在地を誰が確認するのか。機微な話題へ移ったときに停止するのか。録音を断られた場合は、担当者のメモで続けるのか。営業担当者がその場で判断できるところまで具体化します。

確認項目事前に決めておく内容
録音の目的議事録作成・引き継ぎなど実際に行う利用
録音しない場面相手が希望しない場合・機微情報を扱う場合など
参加者への案内会議招待・開始時・途中参加時の伝え方
AI処理文字起こしと要約の処理先・学習利用・再委託の確認
社内の閲覧範囲音声・文字起こし・要約を誰が見られるか
問い合わせ対応開示・訂正・削除・利用停止等の連絡を誰が受けるか
製品の保存仕様自動削除や一括削除の有無を社内ルールと照合する

「営業品質の向上のため」といった広い目的だけでは、案内を受けた人が利用の範囲を想像しにくくなります。議事録を作る、次回対応を確認する、引き継ぎに使うなど、実際に行うことを書きます。あとから評価や研修へ用途を広げるなら、最初の案内で足りるかを改めて確認します。

相手への案内は短く、実態に合わせる

会議招待には、録音予定と目的を一文入れます。当日も録音を始める前に口頭で確認します。招待の転送や当日の追加参加があるため、招待文だけで全員への説明が済んだとは扱いません。

案内文の例

「議事録の作成と次回対応の確認のため、この商談を録音し、文字起こしと要約を作成してもよろしいでしょうか。録音を希望されない場合は、録音せずに進めます。」

この文面は、実際の用途が議事録と次回対応の確認に限られる場合の例です。別の用途があるなら、その用途に合わせて書き換えます。録音を断られたときの返答も決めておきます。「承知しました。録音せず、こちらでメモを取ります」で十分です。相手に理由を求める必要はありません。

録音開始後に参加者が増えた場合は、その人にも案内してから続けます。商談の途中で録音を止めてほしいと言われた場合の操作と、その後に作成済みデータをどう扱うかも、担当者へ知らせておきます。製品にない削除方法や、実行できない保存期限は案内文へ入れません。

DRIVE SFAの現在の保存仕様

DRIVE SFAでは、サービス上で記録・連携された商談・通話の音声を扱います。録音データはデフォルトで非公開とし、組織スコープに基づいて閲覧を制御します。録音データや生成結果を他の利用企業へ共有せず、他社向けのAI学習にも使用しません。

録音データと派生データは、利用契約中は継続して保存されます。現時点では、保持期間を指定した自動削除機能と一括削除機能はありません。

そのため、「90日後に自動で消える」といった運用は現行機能では設定できません。社内規程や顧客との契約で保存期間が決まっている場合は、導入前にその要件と製品仕様が合うかを確認してください。継続保存を前提に、どの商談を録るか、どの情報を会話に含めるかを決める必要があります。

参加者から削除などの申し出を受けた場合に、営業担当者が対応可否をその場で断定しないようにします。導入企業の問い合わせ窓口で内容を確認し、必要に応じてDRIVE SFAの契約・機能に関する窓口へ照会する流れにしておくと、実際の仕様と異なる約束を避けられます。

導入後は、録音件数ではなく記録の使われ方を見る

録音件数が増えても、それだけでは導入効果を判断できません。商談終了から記録確定までの時間、要約の修正量、決定事項や担当者の抜け、引き継ぎ時の追加確認を、導入前後で比べます。相手から録音を断られた件数や、停止・訂正の依頼も残しておくと、対象と案内文を見直す材料になります。

AI要約は、数値、固有名詞、否定表現、期限、担当者を人が確認します。「検討する」と「実施する」の取り違えは、そのまま案件情報の誤りになります。正式な記録として扱う前に元の会話へ戻れる手順を用意します。

すべての商談を録音する必要はありません。録音による記録負担の軽減よりも、会話の機微性や保存上の問題が大きい場面では、最初から録音対象から外す判断があります。

よくある質問

日本の商談では、相手の同意が必須ですか?

個人情報保護委員会のFAQは、顧客との電話について、個人情報保護法上は録音していることを伝える義務までは負わないと回答しています。ただし、この回答だけで個々の商談の録音可否やデータ利用まで判断することはできません。録音前に相手へ説明し、希望されない場合は録音しない手順を社内で決めておく必要があります。

会議招待に書いておけば、当日の確認は不要ですか?

参加者が招待文を見ていない場合や、途中から参加する場合があります。当日も録音開始前に案内し、追加参加者にも伝えます。どの方法で同意を記録する必要があるかは、参加者の所在地や契約に応じて確認してください。

録音を断られたら、商談を中止しますか?

録音せず、担当者がメモを取って商談を続けます。終了後に決定事項をメールで共有し、認識を確認する方法もあります。

DRIVE SFAで保存期限を設定できますか?

現時点では、保持期間を指定した自動削除機能はありません。録音データと派生データは利用契約中、継続して保存されます。一括削除機能も提供していません。保存期限がある業務での利用は、要件と現行仕様を事前に照合してください。

AI要約はそのまま議事録に使えますか?

人が内容を確認してから使います。特に数値、期限、固有名詞、否定、決定事項、担当者は元の会話と照合します。AIが作った解釈と、参加者が実際に述べた事実も分けて記録します。

商談録音の対象や運用を確認したい方へ

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小花 達也

執筆:小花 達也

新卒でソフトバンク株式会社に入社し、デジタルマーケティングを担当。その後、ベンチャー企業数社でBtoBマーケティング、データ基盤構築、営業などを担当した後、ELW株式会社に入社。DRIVE SFAでは導入支援とマーケティングを担当。

本記事は、DRIVE SFAの導入支援・営業運用に関する知見をもとに編集しています。