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Security 2025.11.26

オンプレミスの安心を、クラウドでも。データ管理の新しい選択肢

小花 達也
15 min read
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「弊社の規定では、顧客データは社内ネットワーク内で管理することが定められています」

現場が「新しいツールを取り入れたい」と願う一方で、管理部門やセキュリティ担当の方々からは、こうした慎重な声が上がることがあります。

この判断は、企業の基盤であるデータを守り、万が一の際にも責任を持って対処しようとする、ITプロフェッショナルとしての誠実な姿勢の表れです。

この記事では、その責任ある判断を尊重しながら、最新のAI機能を安全に享受できる「プライベートSaaS」という形について、優しく紐解いていきます。

「自社管理」が選ばれ続ける理由

IT管理の現場において、データの所在が明確であることは何よりも重要視されます。 自社の環境にサーバーを置くオンプレミスという形態が長年信頼されてきたのは、データの管理権限を自社で完全に握れるためです。

何か不測の事態が起きた際、自分たちの手ですぐに調査を行い、ログを確認し、即座に対策を打てる。この「自分たちでコントロールが可能であること」が、組織を支える上での大きな安心材料となっています。

オンプレミス運用における信頼の形

自社管理を優先する組織の多くは、社内ネットワークという安全な空間を大切に守る考え方を持っています。 外部からの望まないアクセスを遮断し、純粋に自社のルールだけで運用できる環境は、確かな信頼の源です。

自社管理がもたらす安心感

  • 論理的な隔離: 他の組織とリソースを共有せず、独立した空間で運用できる。
  • 監査の透明性: 操作ログや通信のすべてを、自社のルールに基づき把握できる。
  • 継続性の担保: サービス提供側の都合に左右されず、自社の判断でシステムを維持できる。

クラウド検討時に大切にしたい観点

利便性よりも、まずリスクを正しく評価することがセキュリティ担当の方々の重要な役割です。一般的なクラウドサービスの導入においては、以下のような点が丁寧に議論されます。

1. 共有環境への懸念

他社と同じサーバーを利用する場合、万が一隣の環境でトラブルが起きた際に、自社のデータが影響を受ける可能性を精査する必要があります。

2. 暗号鍵の所在

データが暗号化されていても、その鍵をサービス側が持っている場合、実質的に中身を閲覧できてしまうのではないか、という問いに答える必要があります。

3. ネットワーク経路

重要な情報がインターネットを経由すること自体が、組織のセキュリティ規定に抵触しないかを確認する必要があります。

DRIVE SFAが提案する新しい構築モデル

これらの懸念を解消し、オンプレミスの良さとクラウドの利便性を融合させる。 それが、DRIVE SFAが提供するプライベートSaaSというモデルです。

これは、共通のクラウド環境にデータを預けるのではなく、お客様自身が契約・管理しているAWS等のクラウド環境の中に、DRIVE SFAのシステムを丸ごと構築する手法です。

技術構成:Private SaaS Architecture

1. AWSアカウント単位での独立稼働(仮想私有環境)

DRIVE SFA では、他社と共用する AWS アカウント上でシステムを稼働させることはありません。 お客様ごとに 専用の AWS アカウントおよび仮想ネットワーク(VPC) を用意し、その中にシステムを構築します。

これにより、ネットワーク・IAM・ストレージ・ログといった基盤要素がすべて顧客単位で分離され、 他社環境から技術的に到達できない構造を実現しています。

これは「同じ建物の別フロア」ではなく、 「建物そのものが別」であることに相当する隔離性であり、 オンプレミスにおける専用サーバ環境と同等、あるいはそれ以上に明確な境界を持ちます。

2. 暗号鍵(KMS)の管理と影響範囲の明確化

データはすべて暗号化され、復号には AWS の鍵管理サービス(KMS)を必ず経由します。 この暗号鍵は お客様専用の AWS アカウント内で管理され、 他社アカウントから利用されることはありません。

重要なのは、「鍵が漏れるかどうか」ではなく、
「その鍵が、何社分のデータに効くか」という点です。

DRIVE SFA の構成では、暗号鍵の影響範囲は常に 1顧客=1アカウントに限定されます。 仮にアプリケーションや運用上の問題が発生した場合でも、 他社データへ波及する構造にはなりません。

そのため、マルチテナント型サービスに比べ、 最悪時の影響範囲(Blast Radius)を極めて小さく抑えることができます。

3. 閉域網・専用線接続によるネットワーク分離

お客様の要件に応じて、専用線や閉域網(インターネットを経由しない接続)にも対応可能です。 これにより、DRIVE SFA は既存の基幹システムと同一のネットワーク境界内で利用できます。

インターネットを前提としない構成を取ることで、 以下のメリットを実現し、「クラウドでありながら、社内システムと同じ前提で扱える」構成を提供します。

  • 通信経路のリスク低減
  • 社内ネットワークポリシーとの整合
  • オンプレミス環境と同等の接続モデル

セキュリティと利便性を両立するポイント

IT管理部門の方々と検討を進める際は、以下の3つのポイントを共有いただくことで、より建設的な対話が可能になります。

「データ主権が守られます」

データはお客様が管理する環境から外に出ません。万が一の際も、お客様自身の権限でデータの削除や回収を行えるため、情報のコントロールを失うことがありません。

「保守の負担を軽減できます」

環境はお客様のものですが、システムの更新やパッチ適用は弊社が責任を持って行います。運用の手間を増やすことなく、常に最新の安全な状態を維持できます。

「既存の監査ツールに統合可能です」

自社アカウント内での稼働となるため、全てのログを社内の監視ルールに組み込めます。ブラックボックスを排除し、透明性の高い運用を実現します。

「実績がない会社は信じられない」への技術的回答

最後に、IT担当者様から稀に投げかけられる「まだ若い会社だから、信頼していいか迷う」という問いへの、私たちの誠実な回答をお伝えします。

DRIVE SFAは、「私たちを信じてください」というお願いを、技術的な担保に置き換えました。 従来のSaaSは、サービス提供元にデータの鍵を預ける「信用」に基づいた仕組みでした。しかしプライベートSaaSは、お客様自身が鍵を持ち、環境を所有する「物理的なコントロール」に基づいています。

私たちに依存しないという安心

「万が一」の時も、データはあなたの元にあります。
仮に弊社に不測の事態が起きたとしても、システムはお客様のアカウント内で動き続け、データは1ビットも失われません。私たちを信頼していただく必要がないほどに、アーキテクチャそのものがお客様の資産を守るように設計されています。

「中身が見えない」不安を解消します。
全てのインフラ構成をお客様側で検証可能です。物理的にデータの出口を制限し、弊社からもアクセスできないように構成を組むことができます。これが、言葉による約束以上の「信頼」の形です。

私たちが求めているのは、盲目的な信用ではありません。 技術的に見て、これ以上なく安全であるという「論理的な納得」です。そのための資料や構成図は、すべてオープンにお伝えしています。

まとめ:守ることと、進化することを一つに

DXの目的は、これまでのルールを壊すことではありません。 「会社が守るべきガバナンス」と「現場が求める新しい利便性」を尊重し、その両方を高い次元で統合することにあります。

管理部門の方々が大切にされている責任を、DRIVE SFAは最新の技術で支えます。 オンプレミスの安心感と、現場の負担をなくすAIの世界。どちらか一方を諦めるのではなく、両方を手に入れるための対話を、ぜひ一緒に始めさせてください。

IT担当の方への技術相談を承ります

インフラ構成図や責任分界点リストなど、社内での検討に必要な資料を完備しています。弊社のエンジニアが、貴社のIT担当者様と直接、最適な構成について協議させていただくことも可能です。

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小花 達也

Written by 小花 達也

新卒でソフトバンク株式会社に入社し、デジタルマーケティングを担当。その後、ベンチャー企業数社でBtoBマーケティング、データ基盤構築、営業などを担当した後、ELW株式会社に入社。